腎臓病の食事療法に24時間蓄尿が必要なワケ
私が通院している腎臓内科では毎月自宅で24時間蓄尿をして、通院時に持参しています。
腎臓病の方は腎生検やステロイド投与による入院時に24時間蓄尿をされた方は多いと思いますが、自宅で24時間蓄尿をした経験のある方は少ないのではないでしょうか。
腎臓病で24時間蓄尿をする理由は、現在の腎機能を正確に把握するためというもの勿論あるのですが、食事療法の評価にも重要な役割があるんです。
今回はそんな腎臓病の24時間蓄尿についてご説明します。
腎臓病の食事療法に24時間蓄尿が必要なワケ
私は腎臓病の食事療法として毎日食べた食べ物を記録して栄養計算をしています。
しかし、ちゃんと食品成分表で栄養価を調べて栄養計算をしていても、実際の1日の食塩やたんぱく質摂取量と一致しているとは限りません。
食品成分表を使った栄養計算は素人にはとても難しく、計量や栄養計算のやり方が間違っていたり、成分表示が記載されていない食品を使っていると、自分で栄養計算した値と実際の摂取量が異なってしまうことがあります。
そこで、24時間蓄尿をすると以下のようなことがほぼ正確に分かります。
- 1日の尿量
- 尿蛋白1日量
- 1日の蛋白摂取量
- 1日の食塩摂取量
私が今通院している病院では、自宅で24時間蓄尿をして、蓄尿で採取した尿を毎月の腎臓内科の通院時に提出しています。
そして、24時間蓄尿から算出した1日のたんぱく質摂取量、食塩摂取量と、自分で栄養計算した値を管理栄養士と一緒に照らし合わせることで栄養計算の答え合わせをしています。
これを繰り返すことで、自分の栄養計算の精度が高まっていき、最終的には24時間蓄尿の結果と、栄養計算の結果がほぼ同じになるそうです。
24時間蓄尿による栄養計算の答え合わせ
24時間蓄尿による測定で、栄養計算の答え合わせができることをご紹介しました。
それでは実際に24時間蓄尿でどこまで正確に測定できるのか、私のある日の24時間蓄尿での測定結果と、栄養計算の答え合わせの結果をご紹介します。
こちらは私が蓄尿した当日に食べた食事の栄養計算です。
そしてこちらが24時間蓄尿により測定した蛋白摂取量と食塩摂取量です。
結果は以下の通り、栄養計算の値と24時間蓄尿による測定結果がほぼ同じになりました。
たんぱく質摂取量 | 食塩摂取量 | |
---|---|---|
自分でした栄養計算 | 40.3 | 4.24 |
24時間蓄尿による測定 | 40.85 | 4.14 |
初めから栄養計算と24時間蓄尿の結果がここまで近くなることは少ないそうで、この日は管理栄養士の先生にもお褒めの言葉をいただきました。
自宅での24時間蓄尿のやり方
私の通院している病院ではユリンメート Pという容器で24時間蓄尿をしています。
<ユリンメート Pでの蓄尿のやり方>
- 朝起床時(例えば7時)にまず排尿し、この尿を捨てます。
- それ以降の尿はすべてユリンメート Pに毎回採り、翌朝の起床時(前日の同じ時間)に尿意がなくても排尿し、ユリンメート Pに採ります。
- 1日分の尿を採り終えたら、専用の容器にうつし、通院当日まで冷凍で保管します。
- ユリンメート Pは中性洗剤で洗い、次回の24時間蓄尿時にも使います。
ユリンメート Pでは毎回1/50ずつためることが出来るので、終了時点でたまっている尿量を50倍すれば、1日の尿量が分かるという優れものです。
私の場合は薬局で3,000円ほどで購入しました。
ユリンメート Pを使えば、簡単に24時間蓄尿をできるとはいえ、さすがに外出先や仕事中に蓄尿をするのは難しいため、私の場合は通院直前の休日に24時間蓄尿をするようにしています。
24時間蓄尿は正しい食事療法には必要な検査
今回は私が通院している病院で実施している24時間蓄尿が食事療法に必要なワケをご紹介しました。
以前私が書籍レビューでご紹介した「出浦照國先生」や「佐中孜先生」など腎臓病の食事療法の権威の方々も外来での24時間蓄尿の重要性を訴えておられました。
ただ自宅での24時間蓄尿は正直患者にも負担がかかる検査のため、私が探した限りでは外来で24時間蓄尿をしている病院はほとんどありませんでした。
とはいえ食事療法に力を入れている腎臓内科のある病院では実施していることも多く、私の場合もどうせ食事療法をやるのであれば正しくやりたいと思って、今の病院を探して転院しました。
24時間蓄尿で自分の摂取した食塩量やたんぱく質量を正確に把握することができ、自分の毎日の栄養計算のモチベーションにもなるので、今の病院に転院してとても満足しています。
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